「退職代行サービスを利用して、会社との連絡を断ち切ったはずなのに、会社から電話がかかってきた…」
このように、退職代行を使ったにもかかわらず、勤めていた会社から連絡がきてしまい、どう対処法をとれば良いのか、不安に感じている方は少なくありません。
会社から電話があると、つい出てしまうべきか、それとも無視を続けても問題ないのか、迷ってしまいますよね。
この記事では、退職代行を利用したにもかかわらず会社から連絡がくる理由を詳しく解説し、状況に応じた適切な対処法を具体的にご紹介します。
この記事を読むことで、以下の点が明確になります。
- 退職代行を使っても会社から連絡がくる理由がわかる
- 会社からの連絡を無視して良いかどうかが判断できる
- 連絡がきた際の具体的な対処法が身につく
- よくあるトラブル事例とその回避策を学べる
退職代行で会社から連絡きた状況を解説
- 会社から連絡がくる代表的な理由
- 退職代行サービスに対する会社側の対応
- 退職代行後に会社から電話がくる場合
- 会社からの連絡を無視しても平気か
- 連絡が来たときに取るべき正しい対処法
- 連絡を未然に防ぐための事前準備
会社から連絡がくる代表的な理由

退職代行サービスを利用したにもかかわらず、会社から直接連絡がくるのには、いくつかの理由が考えられます。多くの場合、退職者本人を困らせようという悪意からではなく、会社側の事情によるものです。
まず挙げられるのは、会社側が状況を正確に把握できていないケースです。例えば、退職代行業者からの連絡を人事担当者や直属の上司がまだ確認していなかったり、情報共有がうまくいっていなかったりする場合に起こり得ます。
次に、会社が退職代行の利用を意図的に拒否している可能性も否定できません。一部の企業、特に古い体質の組織では、「退職の意思は本人から直接聞くべきだ」という考えが根強く、代行業者からの連絡をあえて無視して本人に連絡してくることがあります。
また、直属の上司などが感情的になっているケースも考えられます。特に中小企業や、上司との距離が近い職場では、「裏切りだ」「筋を通せ」といった感情的な理由で、個人の携帯電話に連絡をしてくることがあります。
これらの理由から、会社からの連絡は決して珍しいことではないと理解しておくことが、冷静な対応への第一歩となります。
退職代行サービスに対する会社側の対応

従業員が退職代行サービスを利用した際、会社側はどのような対応を取るのでしょうか。企業の人事労務担当者や経営者は、突然の第三者からの連絡に戸惑いつつも、法的なリスクを避けるために慎重な対応を求められます。
多くの場合、会社が最初に行うのは、連絡してきた退職代行業者の身元確認です。弁護士事務所なのか、労働組合なのか、それとも民間の代行業者なのかによって、会社側が取れる対応の範囲が異なるからです。特に、弁護士資格を持たない民間業者が退職条件の交渉などを行うことは「非弁行為」として法律で禁じられているため、会社はその点を見極めようとします。
次に、本当に従業員本人の意思による退職依頼なのかを確認します。これは、第三者によるなりすましや嫌がらせといった、万が一の事態を避けるためです。そのため、代行業者に対して、従業員本人からの委任状の提示を求めることが一般的です。
本人の意思が確認できれば、会社は退職に向けた事務手続きを開始します。退職届の提出を依頼し、貸与品(PC、スマートフォン、社員証など)の返却方法や、会社に残された私物の取り扱いについて、代行業者を通じて連絡を取ることになります。
このように、会社側も手順を踏んで対応していることを理解しておくと、過度に不安を感じる必要がなくなります。
退職代行後に会社から電話がくる場合

退職代行業者から会社へ「本人に直接連絡しないように」と伝えてもらっていても、電話がかかってくる場合があります。その内容は、感情的な引き止めだけとは限りません。
最も多いのは、退職手続きに関する事務的な確認事項です。例えば、社会保険の手続きに必要な情報や、最後の給与振込に関する確認など、代行業者だけでは判断できない内容について、直接本人に確認したいという意図が考えられます。
また、業務の引き継ぎに関する質問も理由の一つです。後任者が業務を進める上で、本人でなければ分からない点が出てきた場合に、やむを得ず連絡してくることがあります。これは、業務の停滞による損害を避けるための、会社としての合理的な行動とも言えます。
さらに、純粋な安否確認として電話をかけてくるケースもあります。突然出社しなくなったことに対して、上司や同僚が心配し、本人の無事を確認したいという思いから連絡する場合です。
これらのように、会社からの電話には様々な背景があるため、着信があったからといって、必ずしもネガティブな内容とは限らないのです。
会社からの連絡を無視しても平気か

退職代行を利用した後に会社から連絡があった場合、それを無視しても法的に問題はないのでしょうか。
まず、退職は労働者に認められた権利であり、民法第627条に基づき、退職の意思表示をしてから2週間が経過すれば、会社の承認がなくとも雇用契約は終了します。そのため、退職代行業者を通じて正式に退職の意思が会社に伝わっているのであれば、会社からの連絡を無視したからといって、退職が無効になることはありません。
したがって、電話やメールに応答する義務はなく、基本的には無視しても問題ないと考えられます。特に、精神的な苦痛を感じて退職代行を利用した方にとっては、無理に対応する必要は全くありません。
ただし、注意点も存在します。連絡を完全に無視し続けることで、退職手続きがスムーズに進まない可能性があるのです。例えば、会社が貸与品の返却方法や離職票の送付先を確認できず、手続きが滞ってしまうケースが考えられます。
また、ごく稀なケースですが、連絡が取れないことを理由に、会社が一方的に自己都合退職ではなく懲戒解雇として処理しようとするリスクもゼロではありません。このような事態を避けるためにも、連絡があった事実自体は、利用している退職代行業者へ報告しておくのが賢明な対応です。
連絡が来たときに取るべき正しい対処法

もし会社から直接連絡がきてしまった場合、最も大切なのは、自分で判断して応答しないことです。全てのやり取りを退職代行業者に一任するのが、サービスを利用する上での基本となります。
具体的な対処法は、利用している退職代行サービスの種類によって少し異なります。
弁護士または労働組合が運営する代行サービスの場合
弁護士や労働組合が運営する退職代行サービスを利用している場合は、一切自分で対応する必要はありません。これらの組織は会社との交渉権を持っているため、本人への直接連絡をやめるよう、法的な背景を持って強く要請できます。
会社から電話やメール、LINEなどで連絡があった際は、応答せずに、その内容(着信履歴のスクリーンショットやメッセージ内容)をそのまま代行業者に転送してください。それだけで、業者が適切に対応してくれます。
民間企業が運営する代行サービスの場合
民間企業が運営する代行サービスは、会社との法的な交渉権を持ちません。彼らの役割は、あくまで本人の「意思を伝える使者」です。このため、会社側が「本人と話したい」と強く主張してくることがあります。
この場合も、原則として本人が対応する必要はありません。連絡があった旨を代行業者に伝え、今後の対応について指示を仰ぎましょう。多くの代行業者では、このようなケースを想定した対応マニュアルを用意しています。
いずれのサービスを利用している場合でも、不安を感じたらすぐに業者へ連絡することが、問題をこじらせないための鍵となります。
連絡を未然に防ぐための事前準備

退職代行サービスを利用する際に、少し工夫するだけで、会社から直接連絡がくる可能性を低くすることができます。
一つ目は、代行業者の担当者へ「本人に直接連絡しないよう、会社側に強く伝えてほしい」と明確に依頼しておくことです。ほとんどの業者はヒアリングの際に確認してくれますが、念のため自分から伝えることで、より確実に意向を伝達してもらえます。
二つ目は、業務の引き継ぎ資料を事前に作成しておくことです。退職代行を利用する場合、最終出社日以降は会社に行かないケースがほとんどです。そのため、後任者が困らないように、担当業務の内容や進捗状況、関連ファイルの保管場所などをまとめた資料を、会社の共有フォルダや自分のデスクに残しておくと親切です。そして、その資料の存在を代行業者から会社に伝えてもらうことで、引き継ぎに関する連絡がくるリスクを減らせます。
三つ目は、委任状を確実に提出することです。委任状は、あなたが退職に関する手続きを代行業者に委任したことを公的に証明する重要な書類です。これがなければ、会社は「本当に本人の意思か確認できない」という正当な理由で、本人に直接連絡を取ろうとします。代行業者から指示された通りに、必ず作成・提出しましょう。
これらの準備をしておくだけで、余計なストレスを抱える可能性を大きく減らすことができます。
退職代行で会社から連絡きた際の注意点
- 退職代行でよくあるトラブル事例
- 「会社から訴えられた」は本当か?
- 弁護士と民間業者のサービスの違い
- 家族や緊急連絡先へ連絡されたら
- まとめ:退職代行で会社から連絡きたら業者へ相談
退職代行でよくあるトラブル事例

退職代行サービスは多くの場合、スムーズに退職を完了させてくれますが、稀にトラブルが発生することもあります。事例を知っておくことで、冷静に対処できるようになります。
代表的なトラブルの一つが、「損害賠償を請求する」という会社からの脅しです。特に、突然出社しなくなることに対して、「引き継ぎもせずに辞めるなら、会社が被った損害を賠償してもらう」といった内容の連絡がくることがあります。しかし、これは感情的な脅しであることがほとんどです。労働者には退職の自由が保障されており、退職したという事実だけで損害賠償責任を負うことは、法的に極めて困難です。
もう一つの稀なケースとして、上司や社長が自宅に直接訪問してくるという事例が挙げられます。これも違法性が高い行為であり、応対する義務は一切ありません。インターホン越しに対応を断るか、無視を貫き、身の危険を感じるようであれば、迷わず退職代行業者や警察に連絡してください。
これらのトラブルは、信頼できる退職代行業者を選んでいれば、適切に対応してもらえます。業者によっては、こうしたトラブルを想定した対応マニュアルを提供しているところもありますので、契約前に確認しておくとより安心です。
「会社から訴えられた」は本当か?

「退職代行を使うと、会社から訴えられるのではないか」という不安を抱く方は少なくありません。特に、会社から「訴訟を起こす」といった強い言葉で連絡がくると、冷静ではいられなくなるかもしれません。
しかし、退職代行を利用したという理由だけで、会社が従業員を訴えることは、現実的にはほとんどありません。前述の通り、退職は労働者の基本的な権利だからです。
会社が従業員に対して損害賠償を請求できるのは、従業員が故意または重大な過失によって会社に具体的な損害を与えた場合に限られます。例えば、会社の機密情報を持ち出して競合他社に渡したり、会社の備品を意図的に破壊したりといった、極めて悪質なケースです。
単に「急に辞めたことで人手が足りなくなった」といった理由では、損害賠償請求が認められる可能性は非常に低いと考えられます。
もし、会社から「訴える」という連絡がきても、それは単なる引き止めや脅しのための言葉である可能性が高いです。慌てずに、まずは退職代行業者、特に交渉権を持つ弁護士や労働組合に相談し、法的な観点から適切なアドバイスをもらうことが大切です。
弁護士と民間業者のサービスの違い

退職代行サービスは、運営元によって大きく3つの種類に分けられ、それぞれに特徴と権限の範囲が異なります。この違いを理解しておくことは、自分の状況に合ったサービスを選び、トラブルを避ける上で非常に大切です。
運営元 | 交渉権の有無 | 対応可能な範囲 | 費用の目安 |
弁護士事務所 | あり | 退職意思の伝達、有給休暇や未払い残業代の請求、退職日の交渉、損害賠償請求への対応など、法的な交渉全般が可能。 | 5万円~10万円程度 |
労働組合 | あり(団体交渉権) | 退職意思の伝達、有給休暇の取得や退職日の調整などの団体交渉が可能。ただし、裁判になった場合の代理人は不可。 | 2万5千円~3万円程度 |
民間企業 | なし | 依頼者の退職意思を「使者」として会社に伝えるのみ。有給休暇の取得希望などを伝えることはできるが、法的な交渉は不可。 | 2万円~3万円程度 |
最も大きな違いは「交渉権」の有無です。弁護士資格を持たない民間企業が、報酬を得る目的で会社と交渉を行うことは、弁護士法で禁止されている「非弁行為」にあたり違法となります。
そのため、未払い給与の請求や、退職条件について会社と交渉が必要になりそうな場合は、弁護士または労働組合が運営する代行サービスを選ぶ必要があります。一方、単に退職の意思を伝えてもらうだけで良いという場合は、費用を抑えられる民間企業のサービスも選択肢に入ります。
自分の状況を冷静に分析し、最適なサービスを選ぶことが、スムーズな退職への鍵となります。
家族や緊急連絡先へ連絡されたら

本人に連絡がつかない場合、会社が実家や緊急連絡先にまで電話をかけてくるのではないか、と心配される方もいるでしょう。
結論から言うと、このようなケースは極めて稀です。本人の同意なく家族などに退職の事実を伝えることは、プライバシーの侵害にあたる可能性があるため、多くのまともな会社はそのようなリスクを冒しません。
しかし、ごく一部のコンプライアンス意識が低い会社では、安否確認などを名目として家族に連絡を取ろうとする可能性もゼロではありません。
もし、万が一家族に連絡があった場合でも、家族が会社からの質問に詳しく答える義務は一切ありません。「本人に代わって退職代行業者へ連絡してください」と伝えてもらうだけで十分です。
このような事態を防ぐためにも、退職代行業者との打ち合わせの際に、「家族や緊急連絡先には絶対に連絡しないよう、会社に念押ししてほしい」と伝えておくと良いでしょう。信頼できる業者であれば、そのような要望にもしっかりと対応してくれます。
まとめ:退職代行で会社から連絡きたら業者へ相談
- 退職代行を使っても会社から連絡がくることは珍しくない
- 連絡の理由は状況の未把握や感情的なものなど様々
- 会社から連絡がきても応答せず退職代行業者に一任する
- 電話やメールは無視しても法的な問題は基本的にない
- ただし連絡があった事実は業者に報告するのが賢明
- 弁護士や労働組合運営の業者は会社と交渉が可能
- 民間業者は交渉権がなく退職意思の伝達のみ行う
- 「訴える」という脅しは感情的な引き止めが大半
- 自宅訪問された場合は無理に応対せず業者や警察に連絡
- 連絡を防ぐには引き継ぎ資料や委任状の準備が有効
- 業者に「本人へ連絡しないよう」念押ししてもらう
- 家族への連絡はプライバシー侵害のリスクがあり稀なケース
- 自分の状況に合った代行サービスの種類を選ぶことが重要
- 不安な点があればどんな些細なことでも業者に相談する
- あなたが悪いわけではないので安心して次の一歩を踏み出す